[イベントレポート]大阪大学21世紀懐徳堂i-spot講座「やっていいマネ・悪いマネ」
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2019年8月2日(金)に開催した大阪大学21世紀懐徳堂i-spot講座「やっていいマネ・悪いマネ」の開催レポートです。21世紀懐徳堂の学生スタッフ、孫が執筆しました。
大阪メトロ淀屋橋駅直結の「淀屋橋odona」。ここには、大阪市が運営するまちづくり情報発信施設「アイ・スポット」があり、大阪大学21世紀懐徳堂と大阪市都市計画局の主催による講座が定期的に行われています。
今年の「夏休みは親子でi-spot講座」では、3回に渡って様々な分野の先生による講義が行われました。初回となった8月2日は「やっていいマネ・悪いマネ」というテーマで、大阪大学知的基盤総合センター特任教授の加藤幹先生にお話していただきました。
最初のワークショップでは、実際にあったいくつかの「マネ」の事例について考えました。
「他人が作詞作曲した歌をマネして街頭で演奏し、作詞者に大きな称賛を得た」、「漫画家は自分の作品の中でどこかのホテル写真をトレースしたものを背景として使った」、「他人がネットで掲載した綺麗な写真をマネして絵を描き、コンクールに応募した」などの事例が加藤先生から紹介され、各グループ(小学生組と保護者組)でそれらの事例を良いマネか・悪いマネか、分類しました。
小学生グループは資料を見ながら、激しい討論も交えて分類作業を進める一方で、保護者の方は「うーん…」となかなか悩んでいる様子。
次に、紙を使った紙タワーの作成ワークショップがありました。
ルールは簡単です。各自グループの制限時間は15分(最初の5分間は作戦会議、その後は作業タイム)となります。道具の使用は一切禁止ですが、紙の使用枚数には制限がありません。目標は自立できるタワーを作ることです。タワーは2回作ります。1回目はできるだけ高いタワーを作ること、2回目は1回目よりできるだけ高いタワーを作ることを目指します。
1回目の作成では、2組の保護者グループが大人の本領を発揮。まるでプロの建築士のような美しいデザインで、しかも安定性が抜群の紙タワーを作りました。さらに、高さも椅子を使わないと測れないほどの2m越えという好成績を取りました。一方、小学生チームの3組も5分間の作戦会議を経て、試行錯誤を繰り返しながら、1回目の作業が終わりました。
2回目には、小学生グループは最初に他の組の優秀なデザインや作り方をマネし、またオリジナルのデザインを組み入れ、タワーを作り始めました。一方、保護者の方も、新たなデザインを考え始め、前回よりもっと高くて丈夫なタワーづくりを目指しています。前回以上に各組は非常に速いスピードで各自のタワーを築いています。終盤になると、それぞれ高くて綺麗な紙タワーを作るようになりました。
紙タワー作りの後、加藤先生による最初のワークショップについての解説がありました。人はマネをすることで成長します。マネをすることでいろいろなことができるようになります。しかし、人の作品を勝手にマネして公開するなど、マネをすることが悪いことになる時もあります。やっていいマネと悪いマネとはどこがちがうのでしょうか?また、ただのマネではなくてそこに自分の工夫が加わった場合はどうなのでしょうか?
「全部をはっきり区別するのは、なかなか難しいでしょう。その理由は、いいマネと悪いマネを区切る基準ラインが曖昧だからです」と加藤先生は語ります。社会の秩序を維持する法律と呼ばれるルールと、規範と呼ばれるモラルという2つの基準が存在し、片方は大丈夫でももう片方は大丈夫ではないということがあるということです。
このように大盛り上がりで講座は終了しました。参加した小学生の皆さん、保護者の方からは、「とっても面白かった!」「もう一度紙タワーを作ってみたい!」という声が多くありました。
今回のお話をきっかけに、知的財産権にも興味をもってもらえればうれしいですね。
(文責:21世紀懐徳堂学生スタッフ 孫)