大阪大学21世紀懐徳堂i-spot講座「実験!台所で火山大爆発」を開講しました。

2018年7月25日(水)に開催された「実験!台所で火山大爆発」の開催レポートです。21世紀懐徳堂の学生スタッフ、浅川が執筆しました。
大阪市営地下鉄淀屋橋駅から徒歩すぐの「淀屋橋odona」。ここには、大阪市が運営する「アイ・スポット」があり、大阪に関係する取り組みが定期的に行われています。今回は、2018年7月25日に開催された、大阪大学21世紀懐徳堂i-spot講座「実験!台所で火山大爆発」の開催レポートです。21世紀懐徳堂の学生スタッフ、浅川が執筆しました。
「夏休みは親子でi-spot講座」の初回は「実験!台所で火山大爆発」というテーマで、大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻准教授の佐伯和人先生にお話ししていただきました。今回は対象が小学生ということで、4年生から6年生まで、親子12組が参加。なかには祖父母とともに参加されている方もいました。
まず、佐伯先生からマグマについての説明がありました。
さて、みなさんは「マグマ」についてどんなイメージをお持ちでしょうか。
赤くて、熱くて、そして、どろどろした「マグマ」。先生いわく、地下にあるドロドロの状態の岩石をマグマというらしく、地表まで上がってしまったら、「溶岩」と呼び名が変わるそうです。最初の実験では、このマグマがなぜ溶岩として噴き出すのかを探っていきます。
必要な材料:
マグマ … 酢+食紅(絵具でもok)
発泡剤 … 重曹+水飴(重曹の半分ぐらい)+食紅(絵具でもok)
地殻 … サラダ油
透明の容器
油吸い取り紙(捨てる時用)
まずは先生による実験の説明と、簡単なデモンストレーションがありました。
まず、透明な容器にサラダ油を入れます。
次に、マグマ(酢と食紅)を入れたところ、マグマがサラダ油の下に沈殿しました。
サラダ油を入れたコップにマグマを入れます。
お箸を使って、まぜまぜ。マグマと地殻を分離させます。
最後に発泡剤を入れたところ、発生した二酸化炭素に押されてマグマがサラダ油のなかを上り、表面に留まりました。
発泡剤、投入!
気泡がいっぱい出てきました。すかさず、実験ノートにメモ。
発泡剤を入れた量に応じて二酸化炭素の発生の仕方が異なり、参加者さんによってマグマが噴出するスピードが違っていたため、会場は大盛り上がりでした。実験で、マグマが噴出するカギは「二酸化炭素」にあることが分かりました。(実際のマグマは主として水蒸気と二酸化炭素で発泡します)
次は、マグマがどのような通り道で噴き出すのかを実験によって探っていきます。
必要な材料:
マグマ … 水+食紅
地殻 … ゼリー(色が薄ければ何でもok)
ペットボトル、スポイト
この実験では、まずペットボトルを写真のように切り、そこにゼリー液を入れて固めます。
次に、底のふたを取ってスポイトでマグマを注入します。
すると…
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地殻(ゼリー)を通って、マグマ(水+食紅)が勢いよく地表から噴き出しました。
これまで、火山といえば一本の道をマグマが駆け上がってくるイメージでしたが、線ではなく「面」の形で噴き出すことに、参加者の皆さんも驚きの声を上げていました。
次は実際に火山の噴火を体験します。
必要な材料:
火山 … 蓋に穴をあけた500ccペットボトル
マグマ … 重曹 + クエン酸 + 中性洗剤 + 薄力粉
あらかじめマグマ(重層、クエン酸、中性洗剤)を火山(ペットボトル)に入れておきます。ここに水を半分くらいまで注ぎ、反応を見るという実験でした。
この実験により、重曹とクエン酸が反応して、二酸化炭素が発生しました。そう、最初の実験でマグマが噴き出すカギだということが判明した、あの「二酸化炭素」です。ガスが発生したら、ペットボトルの蓋を閉めて反応を観察します。
最後は、先生による特別実験でした。
この実験では、ひとつ前の火山の噴火体験と同じ材料を使いますが、穴をあけたペットボトルの内側に小麦粉の粘土を詰めることで、より強力な噴火を再現しました。
参加者の皆さんもビックリ!
講義を終えて、参加者の皆さんは感動と興奮の渦に包まれているようでした。そこで、先生からこんな話がありました。内容は2014年度の御嶽山の大噴火。この時、SNSや動画投稿サイトの普及もあって、多くの人がその様子を動画や写真に収めていたそうです。これらは自然災害の恐ろしさを伝える貴重な資料であることは間違いありません。その一方で、噴火に巻き込まれて亡くなられた方の中には、噴火に気付いた瞬間、真っ先に避難をしていれば助かる可能性のあった人も決して少なくなかったようです。参加者の皆さんも、火山のスペシャリストである先生の話を真剣に聞き入っているようでした。
「映像を残すより、まず身の安全を確保しましょう。命を守るために」という先生の一言で今回の講座は幕を閉じました。
(文責:大阪大学21世紀懐徳堂 浅川)