「植物探検隊@春の待兼山を訪ねて」を開講しました。

2018年4月21日(土)、5月12日(土)に開催された「第19回植物探検隊@春の待兼山を訪ねて」の開催レポートです。21世紀懐徳堂の学生スタッフ、浅川が執筆しました。
毎年、春と秋の二回にわたって開講されている、大阪大学の植物探検隊。2009年から始まった本イベントも、今年で10年目を迎えました。今回は42名の参加者と一緒に、4月21日、5月12日の2日にわたって、新緑の色が美しさを増してきた「待兼山」を散策してきました。
今年も、大阪大学21世紀懐徳堂招へい研究員の栗原佐智子先生の解説のもと、前半は大阪大学豊中キャンパスの待兼山周辺を散策し、後半では待兼山の歴史や植物に関する講義を受講するという二部構成となっていました。
今回の講座を担当していただいた栗原佐智子先生
山の中は蜂や虫などが多いとのことで、長袖長ズボン・帽子・虫よけスプレーという本格的な準備をして、私たち探検隊は待兼山に向けて出発しました。
元気いっぱいの阪大生の皆さんとすれ違いながら阪大坂を下り、まずは、博物館(大阪大学総合学術博物館待兼山修学館)の見学を行いました。館内には学内で発掘された多くの化石や史跡のほか、待兼山周辺の歴史を学びました。中でも、大阪大学のマスコットキャラクターにもなっているマチカネワニの化石には、ひときわ多くの注目が集まっていました。最後に見た博物館の屋上からの眺望は、格別でした。
博物館、屋上展望台からの眺望
博物館を後にした探検隊。いよいよ、待兼山に足を踏み入れます。
いざ、待兼山の遊歩道へ!
遊歩道に入ると、そこには、先ほどの喧騒が嘘のように、静かで心休まる空間が広がっていました。里山ということもあり、今でも多くの近隣住民の方が足を運んでいるようで、歩きやすい山道でした。道中には、旧制浪速高等学校時代の面影を残す史跡や東宮(後の昭和天皇)の行啓を記念した石跡などがあり、参加者の皆さんも待兼山が歩んできた歴史に思いを馳せているようでした。
散策中も「この実は食べられるのでしょうか?」や「この花はなんていう名前ですか?」などの質問が出てきて、終始、和気あいあいとした雰囲気でした。
参加者の皆さんも、先生の解説に聞き入っていました。
山頂で少し休憩したのち、行きとは別ルートを通って山を下ることになりました。鳥たちの鳴き声に誘われて、時には道を外れたりもしながら、私たち探検隊は遊歩道を後にしました。タンポポを始めとして、普段は見過ごしてしまうような野山に咲く草花の魅力が、たっぷりと詰まった散策となりました。
ノアザミの白花。目を凝らすとあちこちで新たな発見が。
大阪大学会館に帰ってからは、いよいよ後半戦。栗原先生によるレクチャーが行われました。講義では、里山として地域の人々とともに育ってきた待兼山の歴史から、待兼山の草花の特徴、更には、生薬や漢方の由来などが紹介されました。最後に「無くなってもいい植物種などありません。待兼山は里山です。人と植物が共生できます。これからも貴重な自然を残していきたいですね。」という言葉をもって、今回の植物探検隊は幕を閉じました。
会館内でのレクチャーの様子。勉強になりました。
受講者の中からは、「娘がここでテニスをしていたころ以来、数十年ぶりの大阪大学でした。校舎は変わってしまいましたが、待兼山はそのままで、懐かしい気持ちになりました。」との声も。10年目を迎えた植物探検隊。待兼山とともに、これからも地域の人と一緒に育っていけたら嬉しいですね。
(文責:大阪大学 21 世紀懐徳堂 浅川)