[イベントレポート]第9回 大阪大学・大阪音楽大学ジョイント企画「月と音楽」
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2017年11月23日(木・祝)に開催された第9回大阪大学×大阪音楽大学ジョイント企画「月と音楽」の開催レポートです。21世紀懐徳堂の学生スタッフ、佐藤が執筆しました。
このイベントは、21世紀懐徳堂が大阪音楽大学、豊中市と連携して毎年開催しています。豊中市内にある2大学と豊中市とが、芸術においてコラボレーションする本イベントは今回で9回目を迎え、当日は、豊中市内外から、約330名の皆さまにお越しいただきました。
まず、「月と音楽」というテーマはどのように生まれたかについて紹介します。
月は、私たちにとって最も身近な天体であり、地球のすぐ隣に位置しています。この身近さから、世界中で月の物語や音楽が書かれてきました。一方で、月についてはまだ多くのことが明らかになってません。
このように、未だ謎の多い研究対象として関心を惹き、もう一方で多くの物語や音楽を生んできた月を題材に、研究者とアーティストが言葉を交わす場所を創ってみようという思いで、この企画が生まれました。
今回のジョイント企画「月と音楽」は、豊中市長の淺利敬一郎様、および大阪大学社学共創本部副本部長の上田貴洋先生の挨拶にて開会しました。
その後、惑星科学が専門の寺田健太郎教授による月に関する講義と、ヴァイオリニスト松田淳一氏が率いる弦楽カルテットの演奏が交互するかたちで進みました。
はじめの演奏は、ドビュッシーの「月の光」でした。その音色で、会場全体がすこし落ち着いたような感じがしました。
寺田先生からは、月と地球がどのような関係にあるのかを様々な視点で講義していただきました。地球に存在する人間を含めた生き物にとって、月がとても重要な役割を果たしていること、また、このような天体に人間がどのように接近し、解明しようと試みてきたのかという歴史を学びました。
月についての講義と呼吸を合わせるような形で、弦楽カルテットによる演奏がありました。アポロ計画に話が及んだときには、「スター・ウォーズのテーマ」が演奏されました。
「スター・ウォーズのテーマ」は、会場にお越しになった参加者のみなさまも一度は耳にしたことがある曲であったものの、それが弦楽器によって演奏されることで、普段の管弦楽の迫力ある曲調とは少し異なり、幽玄な雰囲気が醸し出しされました。
「音楽家にとって月とはどんなものか」と松田淳一先生が問われたときに、「月を見ると、人にじゃまされることなく、自分の好きなことに耽ることができる時間が来たと感じる」と答えられていました。
寺田先生は、月の謎は古くて新しい問題であり、2017年の現在でさえも新たな発見が生まれ続けていると仰っていました。
このように、今回の阪大・音大のジョイント企画は、音楽と科学という異なる観点から、同じ月を通じて、月をより深く知り、感じることができるようになる機会となりました。
私自身、音楽会のなかで印象的だったのはバード・ハワード作曲の「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」の演奏でした。宇宙という果てしない空間に人間が足を踏み入れていくことへの怖さと宇宙への期待感の両方が、繊細な音色で表現されているように感じました。
会場にお越しになった皆様からも、「月の話とその間に入る音楽との絶好な間合い、コンビネーションがよかった」「今まで夜に月に出ていたらなんとなく見るだけだったのが、これから積極的に見ようと思いました」という感想が挙がっていました。
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【当日演奏された曲目】
クロード・ドビュッシー作曲 ベルガマスク組曲より
「月の光」
ジョン・ウィリアムズ作曲 映画スター・ウォーズより
「スター・ウォーズのテーマ」
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調「月光」
バート・ハワード作曲
「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」
アントニン・ドヴォルジャーク作曲 弦楽四重奏曲第12番ヘ長調
「アメリカ」より第4楽章
モーリス・ラヴェル作曲
「弦楽四重奏曲ヘ長調」より第4楽章
グレン・ミラー作曲
「ムーンライト・セレナーデ」
【当日の講演内容】
「月の光と地球照」
「アポロ計画と月の石」
「月と地球の不思議な関係」
「月に吹く地球からの風」
(文責:大阪大学21世紀懐徳堂 佐藤)