[イベントレポート]大阪大学21世紀懐徳堂i-spot講座「自然世界にみる回転運動」

[イベントレポート]大阪大学21世紀懐徳堂i-spot講座「自然世界にみる回転運動」

2017年7月31日(月)に開催された大阪大学21世紀懐徳堂i-spot講座の「自然世界にみる回転運動」の開催レポートです。21世紀懐徳堂の学生スタッフ、武田が執筆しました。

「回転」と聞いて何を思い浮かべるでしょう。自転車の車輪、コマ、風車、野球で投げられるボールも回転していますね。今回は、そんな「回転」をテーマに大阪大学核物理研究センター招へい教員の藤田佳孝先生に講義していただきました。
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夏休み期間中の小学生とその保護者の方々にご参加いただきました。講義を受けながら、用意したノートに学んだことを書いていきます。
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回転は人類にとって重要な発見の一つと先生が仰います。馬車、列車の車輪が物質や人の移動を可能にしました。そして、回転は至る所に存在します。宇宙を見渡せば、地球は自転しながら太陽の周囲を公転しています。広い宇宙から、生活に必要なものまで回転運動に支えられているといえます。ここでは身近に回るものの例に車輪が登場しました。この車輪は、回転の特徴を物語る重要なアイテムです。車輪は一度力を加えて回すとスムーズに回転し続けます。そして、これを止めるにも力をかけなければならならないことを、車輪を回しながら先生が説明されます。

回転の特徴をまとめると以下のようになりました。
・回転運動はスムーズで連続している
・回転させるにも止めるにも力が必要
・回転のしやすさは形(構造)による
・回転の方向を変えるにも力が必要
・回転はベクトルだ
その特徴を学んだあとは、実験をします。「回転運動で遊ぼう!」と題し、3つの実験を行いました。
・あなたも私もバトントワラー!
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2本のバトンを両手に持ちます。この2本、長さは同じで重さも同じ。しかし振り回してみると、回転の「しにくさ」が全く違います。では、その理由は何なのか。バトンを振り回しながら違いを考えます。
実は、バトンの中に入れてある「重り」の位置が違っていたのです。つまり「回転のしやすさ」は形(構造)によっているのです。
・スピンでスケート選手に!
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円盤型の回転台の上に乗り、回転しながら手を横に広げたり縮めたりします。手を広げるとゆっくりと回り、手を縮めると体が早く回ります。水入りのペットボトルを持ち手を縮めてみると驚くほど早く回り出しました。これは物理の言葉で「角運動量保存則」と言うのだそうです。
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・回転する円盤の上で車輪サーフィンだ!
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止まった回転台に乗り、「タテ方向」に持った車輪を「エイヤ」と回してもらいます。車輪を「ヨコ方向」に傾けてみるとあらびっくり。回転台ごと私自身が回転し始めました。しかし車輪の傾きを「タテ方向」に戻すと、回転も止まるのです。車輪の「傾け加減」で回転がコントロールできるのです。これは、回転の「ベクトル」的性質を示しているのだそうです。

実験が終わり、体験した「回転」は、先に学んだ回転のどの特徴かを全員で考えます。実験で考えたこと、思ったことを挙げながら、真剣な表情で答えを考え出します。

講義の最後に、先生が学びの姿勢について語られます。
検索エンジンに聞けば情報が返ってくる現代において、ただ情報を知っているというだけでは、一過性であまり意味がありません。そのことを本当に理解できたか?分かったか?が重要になります。皆さんは考えなくてはなりません。疑問があれば、みなさんの手元のノートに書いておきましょう。なんでだろう?と思ったことを付け加えていきましょう。今回使いはじめた手許のノートをそのような「わかったことノート」として使いましょう、とお話いただきました。

また、講義の最後にはコマがお土産として渡されました。コマにマジックで絵や線を描く
と、回転した際にとても美しい模様が見えると先生は仰います。コマの「回転」を見ると、今日学んだ内容をさらに深く理解でき、興味や関心が深まることでしょう。
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今日学んだ「回転」だけでなく、周囲の生活の場や公園などでも新しい発見や気付きがあるのではないでしょうか。その際は是非ノートに書き留め、考えていくようにしていきたいと私自身も感じました。

(文責:大阪大学21世紀懐徳堂 武田)

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