[イベントレポート]大阪大学21世紀懐徳堂i-spot講座「実験!台所で火山大爆発」

[イベントレポート]大阪大学21世紀懐徳堂i-spot講座「実験!台所で火山大爆発」

2017年8月9日に開催された、大阪大学21世紀懐徳堂i-spot講座「実験!台所で火山大爆発」の開催レポートです。21世紀懐徳堂の学生スタッフ、高倉が執筆しました。

「夏休みは親子でi-spot講座」の第三回目は「実験!台所で火山大爆発」というテーマで、大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻准教授の佐伯和人先生にお話ししていただきました。

まず、佐伯先生からマグマについての説明がありました。

地下にあるドロドロの状態のものをマグマというらしく、地上まで上がってしまったら、「溶岩」に呼び名が変わるそうです。このマグマが溶岩に変わる理由とその過程を、観察する実験です。

必要な材料は

マグマ…酢+食紅

発泡剤…重曹+水飴+食紅

地殻…サラダ油

透明の容器

まず、透明な容器にサラダ油を入れます。その後、マグマ(酢と食紅)を入れ、発泡剤を入れます。

実験結果は、マグマがポコポコとサラダ油のなかを上り、界面上に留まりました。これは重曹(炭酸水素ナトリウム)が酢(酢酸)と反応を起こし二酸化炭素が発生するからだそうです。

発泡剤を入れた量によって二酸化炭素の発生の仕方が異なり、激しく登るマグマと穏やかに登るマグマの違いも見ることができました。

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そして次の実験はマグマの通り道を見る実験です。

必要な材料は

地殻…ゼリー

マグマ…水+食紅

ペットボトル

スポイト

結果はというと、地殻のゼリーの割れ目を伝ってマグマが通りました。一本線の通り道というよりは、面状にマグマが一帯に広がりました。

このようなマグマの通り道が固まった岩を貫入岩と呼ぶそうです。

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そして最後に、火山の大噴火を再現する実験です。

必要な材料は

蓋に穴をあけた500ccペットボトル

重曹

クエン酸

中性洗剤

薄力粉

あらかじめ重層、クエン酸、中性洗剤をペットボトルに入れておきます。

ここに水を半分くらいまで注ぎ、反応を見るという実験でした。

この実験により、

重曹とクエン酸が反応しCO2が発生しました。これは火山ガスの発生が火山爆発につながるメカニズムを再現した実験だそうです。このガスがペットボトル中に充満し、気圧の差がうまれることにより、フタに空けた穴からペットボトル内の内容物が吹き出します。蓋をせずに反応させると、ペットボトル内から穏やかに泡が噴き出しますが、急いで蓋をすると、穴から勢いよく噴き出しました。参加者からは歓声があがりました。

また最後に、佐伯先生からの特別実験がありました。

これは上記の実験と同じ材料を用い同じ過程を踏みますが、穴付きの蓋の内側に小麦粉粘土を詰めるという条件に変えました。

なぜか傘を準備しだす先生。

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実験結果はというと、、、

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勢いよくシャワーのように噴き出しました。

写真は、濡れた顔をタオルで拭く先生。

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実験後、山登りの際の注意点を佐伯先生から教えていただきました。

「火山に登る際には、水かお茶とタオルを持参するようにしてください」、と先生。

その理由は、もしもの火山ガス発生時に備えるためだそうです。

ガスが発生した際に、タオルを水かお茶で濡らし、口鼻元にあて、ガスを吸い込むのを避けるようにするとよいとのことでした。火山ガスといえば、ゆで卵のような硫黄臭を思い浮かべますが、硫黄臭を感じるうちよりも、硫黄臭を感じなくなった時がもっとも危険なのだそうです。

また、噴火時に発生する火山現象のひとつとして挙げられる噴石は、短時間で落下してくることが多く、建物を破壊し人命も奪うとのこと。

噴火の様子をカメラで撮影しようとは絶対にせず、噴火に気づいたら早急に岩陰に隠れるなどして自分の身を守ることを第一に行動してください、とのことでした。

「山を正しく恐れ、正しく楽しんでください」という先生の言葉で講座は幕を閉じました。

(文責:大阪大学21世紀懐徳堂 高倉)

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