[イベントレポート]大阪大学21世紀懐徳堂i-spot講座「化粧の見え方をめぐる知覚・認知心理学」

[イベントレポート]大阪大学21世紀懐徳堂i-spot講座「化粧の見え方をめぐる知覚・認知心理学」

2016年9月14日(水)に開催された大阪大学21世紀懐徳堂i-spot講座「化粧の見え方をめぐる知覚・認知心理学」の開催レポートです。21世紀懐徳堂の学生スタッフ、武田が執筆しました。

i-spot講座、2016年度前期は「いろいろとつながる」、「化ける・変わる・転じる」がテーマです。

9月14日は、最終回。「化粧の見え方をめぐる知覚・認知心理学」をテーマに、大阪大学人間科学研究科の松下戦具先生にお話いただきました。

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コミュニケーションを取る上で、表情を作り出すパーツをもつ「顔」は重要な情報発生源です。その中でも、特に重要なパーツの「目」に注目。

人間が最も魅力的だと感じる目の大きさとはどのようなもので、それは化粧とどんな関係にあるのでしょうか。このことについて、講義でお話いただきました。

魅力的な目の大きさを明らかにするための実験があります。実験では、まず、女性の平均顔をもとに様々な目の大きさの顔を作ります。この際、化粧などの操作はしません。様々な目の大きさの顔を見て、最も魅力的だと選択される頻度の最も高い顔が、最も魅力的な大きさの目を持つ顔だということになります。実験の結果、人が魅力的だと感じる目の大きさは、平均の大きさより6%分程度大きい人でした。

今回の講義では化粧の効果は、錯視と呼ばれる現象で説明されました。錯視の傾向として、対比現象と同化現象があります。例えば、ほどよいアイラインの濃さで、アイラッシュ(マスカラ)、アイシャドウを付けた目は大きく見えます。目を大きく見せることができますが、これは同化現象によるものだと考えられると、先生はおっしゃいます。

驚くべきことに、実験で魅力的だと感じる人が多かった目の大きさと、魅力的なアイメイクを施した目の大きさは、ほぼ同じ数値(平均の目の大きさを100%とした際、105%)で表されるものだったのです。

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授業の後半では、目は大きい方が良いのかだけでなく、その理由は何かを全員で考えました。

なぜ、「目」の大きさは重要なのか?参加者の方々から、「狩りをする際に、目が大きいと獲物をよく観察することができ、生存において有利だから」、「目が大きければ大きいほど、自分をたくさん見てくれているような気になり、好感を持てるから」などの様々な意見が出されました。

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今回の講座も、男性女性を問わず、沢山の参加者の方々にお越しいただきました。参加者の皆様と先生の間で活発な議論が行われました。

目の大きい、お化粧の綺麗な魅力的な人。講義を受けるまで、その魅力の正体は何なのか考えもしませんでした。しかし、今回お話を聞いて、魅力は実験によって数値化できるものでもあると知りました。「ふだん何気なく見ているものを、大学の先生はどんな風に捉えているのか?」ということを学ばせていただきました。

(文責:大阪大学21世紀懐徳堂 武田)

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