Handai-Asahi中之島塾

「Handai‐Asahi中之島塾」は、2004年に大阪大学中之島センターが中之島の地に誕生したのを機に設けられた、朝日カルチャーセンターと大阪大学との共同講座です。朝日カルチャーセンターによる運営で、大阪大学が取り組んでいる研究の成果をわかりやすく紹介します。文化、歴史、芸術、理学、工学、医療など大阪大学が有している様々な分野の講師が、時には旬の話題のテーマなども取り上げます。3ヶ月ごとにテーマと講師を選定し、受講生を募集しております。

お申込みは 朝日カルチャーセンター

2019年12月~2020年3月の申込受付中です!

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開催講座一覧

2020年1月~3月期

大阪弁ぼちぼち講座—「知らんけど」の秘密

金水敏(大阪大学大学院文学研究科 教授)

2020年1月25日(土)10:30〜12:00

大阪人・関西人の話し方には、単に大阪弁・関西弁を話すという以上に、独特の話し方の特徴というべきものがあります。例えば、オノマトペの多用、「ぼけ」「つっこみ」の応酬、「落ち」への強い執着、よく知らないことでも喋ってしまい、とりあえず「知らんけど」と言い添える癖など。日本国内の他地域と比較しても、きわめて特異といえるこのような言語文化や、そこに通底する大阪人・関西人のコミュニケーション哲学は、いったいどのように形成されたのでしょうか。

老年行動学からみた認知症

佐藤眞一(大阪大学人間科学研究科 教授)

2020年2月1日(土)10:30〜12:00

認知症は多くの中高年の人々が恐れている病気ですが、周囲のことが何もわからなくなる、家族や周囲の人たちに迷惑をかけるなど、漠然としたイメージが先行しています。認知症の人の不可解な行動には理由があります。その理由を知ることで介護は楽になりますし、認知症のご本人も幸せに暮らすことができます。今回の講座では、私たちの研究を紹介しながら、認知症の人の不可解な行動の背後にある心の世界について考えます。

うつの人を支える人のために 〜どうかあなたが追い詰められてしまいませんように。

根岸和政(大阪大学大学院工学研究科 講師)

2020年2月15日(土)10:30〜12:00

うつに苦しむ方への支援・援助の方法は、ある程度確立しているように思います。しかし、うつの人を支えることは、とても労力を必要とします。支え手となる私たちが疲弊してしまい共倒れになってしまったら、元も子もなくなってしまいます。うつの人の支え手として大切なことは何か。それは、支え手となる私たち自身の心の健康なのです。本講座では、私たちの心の健康維持・増進についてご紹介させていただきます。

日本人の肥満・メタボ研究と医療、30年

下村伊一郎(大阪大学大学院医学系研究科 教授)

2020年3月5日(木)13:00〜14:30

私は、30年にわたって肥満・メタボに関わる仕事をしてきました。内臓脂肪型肥満・皮下脂肪型肥満、メタボリックシンドローム、アディポサイトカイン概念(全身の中で脂肪がたくさんのホルモンを作ること)、また長寿ホルモンと呼ばれるようになったアディポネクチンの発見・医療展開など、先輩・同僚・後輩たちと多くの仕事に携らせていただいてきました。この講座では、それらの軌跡と現状の理解、そして未来への展望を考えたいと思います。

豊臣秀吉と天皇

野村玄(大阪大学大学院文学研究科 准教授)

2020年3月14日(土)10:30〜12:00

新型コロナウィルス感染症の拡大防止のため、当講座は開催を延期させていただきます。補講日は5月9日(土)10:30〜12:00を予定しております。なお、今後のコロナウィルス対策に関する動向によっては期日が変更となる場合があります。変更の際には、こちらのHPでお知らせします。
周知のように豊臣秀吉は関白として諸大名を服属させました。なぜ秀吉が将軍職ではなく関白職を選択したのかについては諸説ありますが、秀吉による関白職の選択は、同時に秀吉が天皇への接近を選択したことをも意味します。なぜ秀吉は天皇に近づいたのでしょうか。尊崇や政治的利用などといった形式的説明では理解できない側面が多くあります。天皇とは何かという問題について、豊臣期を中心に考えられたらと思います。


2019年10月~12月期

日本の伝統文化、能狂言に親しむ

中尾薫(大阪大学大学院文学研究科 准教授)

2019年10月27日(日)10:30〜12:00

ユネスコ世界無形文化遺産に登録された伝統演劇「能狂言」には、長い歴史と文化、普遍的な美意識や喜怒哀楽などの心が凝縮されています。しかし、なぜ能は難しく、わかりにくいと思う人が多いのでしょうか?講義では、能狂言を敬遠する歴史とその背景(原因)をひもときながら、能狂言の特徴や魅力を考えてみたいと思います。

長期志向・短期志向の違いから見る貿易戦争

堀井亮(大阪大学社会経済研究所 教授・所長)

2019年11月10日(日)10:30〜12:00

日本人や中国人は、将来や老後のことを心配して、節約や貯蓄が大事だと思う傾向があります。一方、アメリカ人は今を充実して生きることを比較的重視します。このように国によって、長期志向・短期志向の考え方の違いがあります。ところが短期志向の国は、たくさん消費するので、貿易赤字になり、借金(対外債務)がかさみます。この講義では、長期志向・短期志向の違いが最近の日中貿易戦争や、かつての日米貿易摩擦の要因になっているという最近の研究を解説します。

認知症医療の過去、現在、未来

橋本 衛(大阪大学大学院連合小児発達学研究科 准教授)

2019年11月23日(土祝)10:30〜12:00

近年の急速な高齢化の進展により、認知症は本邦における重大な社会問題となっています。認知症に対する研究や医療は目覚ましい進歩を遂げていますが、残念ながら認知症を根治させる薬はいまだ開発されておらず、認知症の人は年々増えています。このような状況に対して我々は何をすれば良いのでしょうか。そもそも何ができるのでしょうか。この問いに対して、過去、現在の認知症医療を概観しつつ、未来の認知症医療を考えていきたいと思います。

ミャンマーのいまを歴史的に考える 〜アウンサンスーチーとロヒンギャ問題

池田一人(大阪大学大学院言語文化研究科 准教授)

2019年12月7日(土)10:30〜12:00

ミャンマー(ビルマ)では2010年に軍政が自己民主化を始め、2016年にアウンサンスーチー政権が樹立されました。ミャンマー研究者の誰もが予想できなかった政治展開です。同時に国際社会は、ノーベル平和賞受賞者のスーチー氏がロヒンギャ問題でかくも保守的な対応を取るとは予想しませんでした。ミャンマーではいま、どんな変化が訪れているのでしょうか。その「双子の問題」—民主化問題と民族問題—を歴史的に考えてみたいと思います。

臓器移植はなぜ社会の問題となるのか?:医療人類学の考え方

山崎吾郎(大阪大学COデザインセンター 准教授)

2019年12月7日(土)13:30〜15:00

新しい技術は、ときに私たちの価値観、生命観、さらには社会のあり方そのものを変化させます。臓器移植医療は、そうした社会と先端技術の関係を考える上での格好のケーススタディといえるでしょう。「脳死」は人の死なのか、臓器は商品なのか、文化の違いは関係あるのか…。医療人類学の研究を紹介しながら、この医療についてなされてきた数々の争点について、一緒に考えてみたいと思います。
 

●申込、問合せ: 朝日カルチャーセンター 06-6222-5224

●受講料:各回1,650円
●会場:大阪大学中之島センター(大阪市北区中之島4-3-53)
http://www.onc.osaka-u.ac.jp/others/map/index.php

終了した講座

2019年7月~9月期

腸内フローラの話:微生物と共に生きる人生を知ろう

中村昇太(大阪大学微生物病研究所 特任准教授)

7月7日(日)13:30〜15:00

ヒトは生まれてから3歳頃までに環境から様々な細菌を取り込んで腸内フローラ(腸内細菌叢)を確立し、その後の一生を一緒に暮らします。この腸内フローラは個人毎に異なり、病気等になり調子が悪くなると、腸内フローラも乱れ、回復すると元に戻ります。本講座では、この腸内フローラの基本的な知識や最新の研究成果を紹介します。

めまいと難聴の仕組みと原因 〜内耳疾患の最新の治療について

今井貴夫(大阪大学大学院医学系研究科 講師)

9月1日(日)10:30〜12:00

内耳は聴覚だけではなく平衡覚もつかさどっていますので、内耳の疾患により、難聴やめまい症状があらわれます。両側の高度感音難聴には人工内耳埋め込み術という治療法があります。人工内耳は人工臓器の中で最も成功しているものです。iPS細胞を用いた内耳再生医療の研究も実用化はまだまだですが、進んでいます。内耳の生理、メニエール病などの内耳疾患の診断および治療、最新の内耳研究について解説します。

古代語の謎を解く

蜂矢真郷(大阪大学名誉教授)

9月1日(日)13:30〜15:00

日本の古代のことばについて、形や意味を変えたりもしながら現代でも用いられているものを中心に、その語の成り立ちや由来を考えます。あまり根拠のない語源説のようなものではなく、国語学の、語構成を研究する立場から、いろんな語の表すところに迫ります。多くの語を合わせて比べてみると分かってくることもあります。分かりにくいことに迫る時には謎解きのようなおもしろさが、その由来に迫る時にはルーツを探るようなおもしろさがあるでしょう。(取り上げることばは毎回変わります)

温暖化と私たち ―社会科学の視点から―

北村周平(大阪大学大学院国際公共政策研究科 講師)

9月21日(土)10:30〜12:00

温暖化と聞くと、地球規模のとても大きな問題で、あまり身近なこととして実感できないかもしれません。しかし、ふと立ち止まってみると、教室にエアコンを設置しようという話や、夏の高校野球と日射病の話など、日常の至るところで関連する話を耳にします。気温が上がると、私たち一人ひとりや社会全体にどのような影響があるのでしょうか。これまでの研究でわかってきたことを踏まえ、みなさんと一緒に考えたいと思います。

外国語として学ぶ日本語の面白さとむずかしさ ~日本語教育の現場から

真嶋潤子(大阪大学大学院言語文化研究科 教授)

9月22日(日)10:30〜12:00

日本の在留外国人数は増加の一途を辿っています。長年、日本語教育の現場で主に留学生に日本語を教え、日本語教員の養成にも関わってきた講師が、日本語が母語ではない方々の日本語の習得中に現れる、面白くてむずかしい問いを紹介し、日本語を外国語として学ぶ際のメカニズムを紐解きます。例えば「山の上に、お弁当を食べました」という「間違い」の意外な理由とはなんでしょう?一緒に考えてみませんか。

2019年4月~6月期

スーパーフードの効用と健康長寿

山口明人(大阪大学産業科学研究所・特任教授)

4月13日(土) 10:30~12:00

今話題のスーパーフードは、肉食に偏った米国の食生活の見直しから出てきた概念で、体に良い栄養成分が特に豊富に含まれている野菜、果実、海産物などを指します。日本の食生活では普通に食されているものであり、そのまま取り入れてもあまり大きな意味はありません。そのため、日本でのスーパーフード・ブームは新手のサプリメントのような販売方法がとられています。しかし、スーパーフードの考え方は、日本の食生活に即した取り入れ方をすれば、健康長寿に大きな意義があります。本講座では、スーパーフードの歴史と思想、日本の食生活に即した効能・効用を解説し、美味にスーパーフードを食するための実践的な調理法まで紹介します。

怖い動脈硬化にならないためには?ー脂質異常症とメタボを治そう!

山下静也(地方独立行政法人りんくう総合医療センター 副理事長・病院長)

6月2日(日)13:30〜15:00

心筋梗塞や脳卒中は突然命を落とすこともある怖い病気ですが、そのもとになるのは動脈硬化です。動脈硬化になりやすくさせる生活習慣として、喫煙、運動不足がありますが、脂質異常症、高血圧症、糖尿病などの病気が有名です。今回の講座では動脈硬化にならないために、特に脂質異常症とメタボについて、どのようにすれば防げるのか、また改善できるのかについてお話ししたいと思います。

生き方死に方と在宅医療を考える

山中浩司(大阪大学大学院人間科学研究科 教授)
6月16日(日)10:30〜12:00

高齢になると医療との付き合いが増えます。薬も増えれば入院も増えます。長生きしたくない、病院で寝たきりはいや、という人は多いですが、私の卑近な例で考えても意外と人は簡単に入院します。理由は「元気になってから死にたい」です。もう一つの理由は「家族の負担」です。在宅医療が普及するとどうなるでしょうか。入院は減るでしょうか、家族の負担はどうでしょうか。医療の適切なあり方使い方をみなさんと考えたいと思います。

「死後の世界」と東西文化の交流-日本の冥界観はどこから来たのか?

荒川正晴(大阪大学大学院文学研究科 教授)

6月16日(日)15:00〜16:30

古来、人は死後の世界のことをいろいろと思い描いてきました。ただ何故か、民族や宗教・文化の違いを越え、人々の死後のイメージには共通しているところがあります。たとえば、極楽と地獄の存在だけでなく、死後に現れる三途の川や閻魔さまなどは、少なくとも東アジアでは広く共有されています。ただ、それはどこから来て、どのようにして形成されてきたものなのでしょうか?この講座では、中央アジアや中国の墳墓より出土した文字・画像資料を用いて、この問題について考えてみたいと思います。

古代語の謎を解く

蜂矢真郷(大阪大学名誉教授)
6月30日(日)13:30〜15:00

日本の古代のことばについて、形や意味を変えたりもしながら現代でも用いられているものを中心に、その語の成り立ちや由来を考えます。あまり根拠のない語源説のようなものではなく、国語学の、語構成を研究する立場から、いろんな語の表すところに迫ります。多くの語を合わせて比べてみると分かってくることもあります。分かりにくいことに迫る時には謎解きのようなおもしろさが、その由来に迫る時にはルーツを探るようなおもしろさがあるでしょう。(取り上げることばは毎回変わります)

・2019年1月~3月期

米国トランプ政権と日本の安全保障

坂元一哉(大阪大学大学院法学研究科・教授)

1月25日(金)15:00〜16:30

米国トランプ政権のここまでの外交・経済政策は、世界の安全保障環境に大きな変化をもたらしています。とくに日本にとって重要なのは米朝接近と米中貿易「戦争」がもたらしている東アジア国際秩序の地殻変動です。この講義では、トランプ大統領の登場とその政策の歴史的意義を考えるとともに、この地殻変動に対する日本のここまでの対応を評価し、さらに今後どう対応すべきかを論じます。

南極と北極の海 ー解ける極海の環境と開発ー

澤村淳司(大阪大学大学院工学研究科・助教)

2月9日(土)10:30〜12:00

南極海、北極海はどんな海?ペンギン、白くま、雪と氷の未開の世界。日本から遠い極域の海にこのようなイメージを持つ人が多いと思います。今、極海は海氷の減少が著しく、環境問題の場所として世界が注目しています。一方、北極海では資源開発や観光地としての利用が増加し、それに伴う様々な問題が起きています。本講義では、南極地域観測隊経験のある講師が、南極観測や北極海航路の活用など、日本が行う極海の環境と開発に関わる活動を紹介し、極海と日本の関わり、極海の現在と将来について考えます。

あなたの運転、大丈夫ですか?  交通安全の心理学

中井 宏(大阪大学大学院人間科学研究科・准教授)

2月16日(土)10:30〜12:00

人間には、起きてほしくない危機的な事象が自分の身に降りかかる確率を低く見積もる傾向があります。例えば、約8割のドライバーが自分は交通事故に遭いにくいほうだと考えています。事故を起こさないための第一歩は、「自身の至らぬ点に気付くこと」です。運転免許取得後、知らず知らずのうちに身に付いてしまった悪癖、見直すきっかけにしませんか。その他、近年話題の煽り運転問題や、自動運転車開発の現状と展望についても紹介します。

痛み治療の最前線:進化する低侵襲痛み治療とその適応

松田陽一(大阪大学大学院医学系研究科・助教)

3月2日(土)10:30〜12:00

腰、首、肩、膝や脚に長引くつらい痛みをかかえて生活をしている人が非常に多いことが国民健康調査で明らかにされています。体の痛みをできるだけ改善して活動的な生活を送るために、体に負担の少ない低侵襲な痛みの治療法が近年注目されるようになり、様々な新しい技術が開発されています。最新の低侵襲痛み治療法とその適応についてわかりやすく解説します。

SPレコード音源に聞く明治・大正時代の上方落語

金水 敏(大阪大学大学院文学研究科・教授)

ゲスト:高島幸次(大阪大学・招へい教授)

3月30日(土)14:30〜16:00

20世紀初頭に実用化されたSPレコード(Standard Playing Record)には、落語、講談、浪曲等、当時のさまざまな話芸が収められています。録音時間の短さや音質の悪さなど制約も多いですが、何より、往時の口演が生々しく再現されるという点で興味が尽きませんし、今日の落語界に繋がる歴史の糸がくっきりと蘇ります。講座では、金水氏が研究用に所持するSPレコードの落語音源を皆様とじっくり聞くとともに、『上方落語史観』で知られる高島氏をゲストに迎え、楽しい解説で上方落語の歴史をたどります。また江戸・東京落語の音源も、時間の許す限り併せて聞いていきましょう。

  • 2018年10月~12月期

美しいこの世界を見る脳:視覚脳科学最前線

藤田一郎(大阪大学大学院生命機能研究科・教授)
10月11日(木)18:30〜20:00

世界は、色彩、輝き、陰影に満ちています。ものが見えることで、私たちの人生はどれだけ楽しいものになっていることでしょう。これを可能にしているのは私たちの目と脳です。今日は目と脳がどうやって美しい世界を見るという贅沢を実現しているかをお話します。「ものが見える」という何気ないできごとが持つ不思議の数々を実感していただきます。そして、その不思議が起こるのはなぜかを目と脳のしくみから考えます。

怒りは厄介なものか?

藤岡淳子(大阪大学大学院人間科学研究科・教授)
10月27日(土)10:30〜12:00

みなさんは「怒り」は厄介なものと思っていませんか?そのように思われがちな「怒り」という感情ですが、実は私たちが心身ともに健康な生活を送る上でも、とても重要な機能を果たしています。怒りを始めとする感情の機能について考えた後で、自身の怒りや笑顔の奥にあるかもしれない様々な感情に気づき、そして、表現していくことの重要性について、ワークを通して体験します。

日本の妊娠・出産事情 〜老化と妊娠

大橋一友(大阪大学大学院医学系研究科・教授)
11月10日(土)10:30〜12:00

子どもが授かる確率を下げる一番の要因は老化です。最近では卵子の老化ということが話題にされていますが、精子にも老化があります。また、子どもを授かりたいカップルの目標は妊娠することではなく、元気な子どもが生まれ、一緒に育児をすることです。そこで、妊娠・出産を受け持つ女性の全身の老化も、この目標には大きな影響を与えます(いわゆる高齢出産の問題)。本講座では現在の日本での妊娠・出産の事情を加齢現象という視点からお話します。

南北朝時代はどのように論じられてきたか

勢田道生(大阪大学大学院文学研究科・准教授)
11月10日(土)14:30〜16:00

南北朝時代とは、日本の中に二人の天皇が存在する状態が50年以上も続くという、日本史上極めて特殊な時代でした。そのため、後代の知識人たちは、南北朝という問題について盛んに議論を行っています。本講座では、南北朝問題をめぐる代表的な学説を紹介するとともに、その学説が生まれた背景や後代への影響について解説します。

なぜ人類は極寒の大地に留まったのか 〜研究とNHKスペシャル「人類誕生(第三部)」番組制作を通じて

思沁夫(スチンフ)(大阪大学グローバルイニシアティブ・センター 特任准教授)

12月22日(土)14:30〜16:00

ロシア・サハ共和国のオイミャコン(Oymyakon)村は1924年に最低気温-71.2°Cを記録し、地球上最も寒い村と言われています。世界で最も寒い地域で人々はどのように暮らしているのか、動植物はいるのか、夏という季節は廻ってくるのか。先住民のエヴェンキ人、ユカギール人の暮らしとNHKスペシャル「人類誕生(第三部)」の制作・撮影体験を通じて、講師とゲストの安本浩二氏(NHK番組制作局 第1制作センター科学・環境番組部ディレクター)、高橋 剛氏(NHK放送技術局 番組制作技術部撮影)が、そのなぜと魅力に迫り、心温まるいくつかのエピソードを紹介します。

  • 2018年7月〜9月期

分裂寿命時計テロメアから生命の基本原理を探る

加納純子(大阪大学蛋白質研究所・准教授)
7月28日(土)14:00〜15:30
人は赤ん坊として生まれ、やがて老いて死にます。なぜ大人の母体から必ず若々しい赤ちゃんが生まれるのでしょうか。なぜ人は必ず老いて死ぬのでしょうか。生き物の寿命はどのようにして決まっているのでしょうか。こういった生命の根本的な仕組みと「テロメア」と呼ばれるDNA領域との関わりについてわかりやすく解説します。

“あたま”と“からだ”の鍛え方・整え方 ~part4あたまとからだの真実の姿

七五三木聡(大阪大学全学教育推進機構教授)
8月18日(土)10:30〜12:00
急激な変化を遂げる現代社会の中で、私たちの価値感や人生観はゆらぎ、知らぬ間に変化してきています。それに流されてばかりでは、“人間として生きていくことの本質”が見失われ、いつしか自身の“生”にも疑問を抱くようになってしまいます。だからこそ、 “自分を変える”ことが大切なのですが、そこにも人間だからこその難しさが潜んでいました。Part4では、“あたま”と“からだ”の真実の姿を見つめながら、“今、どう生きるべきか”に迫ります。
※講義の始めに前回のおさらいをしますので、初めて受講される方にもご理解いただける内容です。

ミエナイセカイの歩き方 〜宗教民俗学を手引きに

永原順子(大阪大学大学院言語文化研究科・助教)
9月1日(土)10:30〜12:00
わたしたちは理解不可能なコトやモノに出会うと、不安や畏怖、興味など様々な反応を示します。自らをとりまく身近な世界の「?」に、怪異伝承、芸能、擬人化、SFなどを通して折り合いをつけてきた人間の思想についてを、宗教民俗学の立場から具体例を挙げてお話します。夢や希望を感じたり、違和感や空恐ろしさを感じたり、ミエたりミエナかったりのどっちつかずを見守る旅に、一緒に出かけてみませんか。

フィールドワークから見るアフリカの魅力 ー未知の言語の調査とともに

米田信子(大阪大学大学院言語文化研究科・教授)
9月22日(土)13:30〜15:00
世界には7000近くの言語があると言われていますが、調査や研究が行われたことのない(したがって辞書も文法書もない)言語がたくさんあります。このような言語の文法を記述するためにその言語が話されている現地に行って調査をする研究分野をフィールド言語学といいます。本講座では、アフリカ諸語の例をとおしてフィールド言語学について紹介します。アフリカの魅力とフィールドワークのおもしろさもお伝えしたいと思います。

古代語の謎を解く

蜂矢真郷(大阪大学名誉教授)
9月29日(土)13:30〜15:00
日本の古代のことばについて、形や意味を変えたりもしながら現代でも用いられているものを中心に、その語の成り立ちや由来を考えます。あまり根拠のない語源説のようなものではなく、国語学の、語構成を研究する立場から、いろんな語の表すところに迫ります。多くの語を合わせて比べてみると分かってくることもあります。分かりにくいことに迫る時には謎解きのようなおもしろさが、その由来に迫る時にはルーツを探るようなおもしろさがあるでしょう。(取り上げることばは毎回変わります)

  • 2018年4月~6月期

「かわいい」の科学-実験心理学で探る心の世界―

入戸野 宏(大阪大学大学院人間科学研究科教授)
4月14日(土)10:30〜12:00
日々の会話やメディアにたびたび登場する「かわいい」という言葉。いまや日本のポップカルチャーの代表としても注目されています。しかし、「かわいい」とは何か,「かわいい」と何がよいのか(悪いのか)についてはあまり理解されていません。このテーマに実験心理学の立場から科学的に取り組んできた成果と今後の展望について、具体例を交えながら分かりやすくお話しします。

元気に立って歩く-脳と身体による制御の仕組み-

野村泰伸(大阪大学大学院基礎工学研究科教授)
4月14日(土)14:00〜15:30
立って歩くことは健康な方には当たり前すぎて、ありがたみを感じる機会は多くないかもしれません。二足歩行ロボットが身近に感じられるようになった昨今、ヒトが立って歩く仕組みは既に解明されたとお考えかもしれません。しかし、ヒト運動制御の研究者にとって、まだその仕組みの多くが謎なのです。この謎の解明は、病気で立って歩くことがままならない状態の改善や、加齢と共に増加する転倒リスクの低減に直結します。元来不安定な立位姿勢や歩行が、生き物ならではの柔軟さやしなやかさを保ちつつ安定に実現される仕組み、そこには脳と身体の巧妙な連携プレーが関わっています。講義では最新の研究成果とともに、身体の動きに隠された不思議な性質を紹介します。
辻田俊哉(大阪大学COデザインセンター講師)
5月26日(土)10:30〜12:00
中東和平に向けた枠組みをとりきめた「オスロ合意」から四半世紀。暴力を伴う紛争は度々発生し、和平プロセスは停滞しました。暴力の再発要因と和平の阻害要因とは何か。武装集団の多様化やサイバー攻撃など、近年における紛争の特徴も交えつつ、紛争が終わらない理由を考えます。
蜂矢真郷(大阪大学名誉教授)
6月9日(土)13:30〜15:00
日本の古代のことばについて、形や意味を変えたりもしながら現代でも用いられているものを中心に、その語の成り立ちや由来を考えます。あまり根拠のない語源説のようなものではなく、国語学の、語構成を研究する立場から、いろんな語の表すところに迫ります。多くの語を合わせて比べてみると分かってくることもあります。分かりにくいことに迫る時には謎解きのようなおもしろさが、その由来に迫る時にはルーツを探るようなおもしろさがあるでしょう。(取り上げることばは毎回変わります)
七五三木聡(大阪大学全学教育推進機構教授)
6月23日(土)10:30〜12:00
part1と2では、肥満を解消するための健康行動を例として、自分を“より良い方向へと変える”ためには、何が必要なのかを見てきました。そこから、見えてきたことは、“頭でわかっていても変えられない”ということ、“変えるためには、私たち人間がどのような生き物なのかを理解することが必要である”ということでした。Part3ではさらにその本質を“あたま”と“からだ”という観点から掘り下げていきます。※講義の始めに前回のおさらいをしますので、初めて受講される方にもご理解いただける内容です。

  • 2018年1月〜3月期

水の都・大阪の川と海は、きれい?汚い?

入江 政安(大阪大学大学院工学研究科准教授)
1月27日(土)10:30〜12:00
水の都・大阪は、昔は縦横に掘割が巡らされ、日本全体の舟運の拠点、まさに水の都と呼ぶべきまちでした。戦後、まちは汚い川に背を向け発展してきました。「大阪の水は汚い!」と思われているかもしれません。どれぐらい汚いのか、はたまたどれぐらいきれいになったのか、どうしてそうなのか、について私の専門である「流れ」と「水質」の面からお話したいと思います。そして、大阪の川から海(大阪湾)の「今」について、お話します。

“あたま”と“からだ”の鍛え方・整え方 〜part2あたまを変える

七五三木 聡(大阪大学大学院医学系研究科准教授)
2月10日(土)10:30〜12:00
part1のテーマは、“からだを変える”でした。“身体が資本”と言われるように、自身の持っている潜在的な力を存分に発揮するための礎こそ身体であり、“より健康で活力に溢れる身体への変化”は、人生を豊かにするための重要な第一歩であると言えます。しかし、その重要性や知識を理解しても、実際に“からだを変える”状況には至りません。実現には“あたま”の変化が必要不可欠です。 part2のテーマは、“あたまを変える”です。※講義の始めに前回のおさらいをしますので、初めて受講される方にもご理解いただける内容です。

遊牧民だった大学教員 ―地域研究者から環境保護活動家になる―

思 沁夫(スチンフ)(大阪大学グローバルイニシアティブ・センター准教授)
2月17日(土)15:00〜16:30
私は中国・内モンゴル自治区・シリンゴル草原(地方)の遊牧民の家庭に生まれました。幼少時代は遊牧生活を送り、その後、北京大学、金沢大学などで法律や文化人類学を学んできました。今から10年前、私は生活と仕事の拠点を大阪に移しました。大阪大学で環境教育を行うかたわら、シベリアにおけるトナカイ放牧者(先住民)が直面しているさまざまな課題に取り組んでいます。モンゴル国と中国・雲南省でも活動し、希少動植物の保護や地域における持続可能な社会づくりに協力してきました。今回の講演では、私が2007年ごろから交流を温めてきたモンゴル国・ウブルハンガイ県に暮らす遊牧民と中国・雲南省・プアール市の人びとと実践してきた環境保護活動について紹介させていただきます。現地で、私が感じたこと、考えたこと、思い悩んだことをお話しするほか、私がなぜ遊牧民から大学教員になったのか、なぜ環境問題に取り組み続けるのかについても触れたいと思います。

頭髪は蘇るのか? 〜毛の健康と病気

板見 智(大阪大学大学院医学系研究科教授)
2月24日(土)10:30〜12:00
脱毛、薄毛は自分にあった方法で治療できる時代にはいっています。しかし、脱毛に悩む人達はともすれば科学的根拠のない迷信や育毛商品に惑わされがちです。講座では健康な頭髪の成長について説明しながら成長に影響する様々な要因(病気)について紹介します。また、最もありふれた脱毛症である男性型脱毛と円形脱毛症の病態と治療について、日本皮膚科学会の脱毛症診療ガイドラインの内容に沿ってお話したいと思います。

話し声からわかること 〜声とイメージの関係を知りコミュニケーション力をUPするために

郡 史郎(大阪大学大学院言語文化研究科教授)
3月3日(土)10:30〜12:00
話し声を聞くだけでも、その人がどういう人なのか、だいたい判断できますし、話し方がじょうずかへたかもわかります。逆に言うと、声の使い方しだいで自分の印象を変えたり、言いたいことをよりよく伝えることができるわけです。この講座では、このような声とイメージの関係についてお話をします。自分の声に気を使いながらじょうずにコミュニケーションをするための手がかりにしていただければ幸いです。

  • 2017年10月〜12月期

トラウマを解消する心理学的アプローチ 〜「心の筋トレ」で、困難や失敗も楽しもう!

森勇介(大阪大学大学院工学研究科教授)
10月28日(土)10:30〜12:00

工学部の研究者が心理学?と不思議に思われるでしょう。研究とは誰もやったことのない成功するかどうかわからないテーマに挑み続ける活動です。新発見に至るまで困難や障壁を乗り越え、強い推進力でプロジェクトを動かし、イノベーションにつなげるには、強いメンタルが不可欠です。このような理由から大阪大学工学研究科では心の筋トレを行っています。中でも幼少期の「怒られた」「笑われた」など一見軽い出来事から受けたトラウマの解消が、研究者の創造性や挑戦力の醸成に有効でした。私自身も体験した心理的アプローチの具体例をお話しします。

「食」の好ききらいのサイエンス

八十島安伸(大阪大学大学院人間科学研究科教授)
11月4日(土)10:30〜12:00

「食べる」は毎日経験するとても身近な行動です。どうして、ある味は好きなのか。なぜ、この味は嫌いなのか。食べ物の好ききらいには、さまざまなタイプのものがあることが分かってきました。それらの好ききらいを分類しながら、それぞれの好ききらいに関わる脳・身体・遺伝子などの働きやそれらの結び付きを概説します。また、食べず嫌いという問題へのアプローチについても概要を述べたいと思います。

役割語とキャラクターでフィクションを読み解く 〜ジブリ・アニメから村上春樹まで

金水敏(大阪大学大学院文学研究科教授)
11月27日(月)14:30〜16:00
あのヒット作には共通の物語構造があった! 著名な神話学者+ハリウッド映画のプロフェッショナルが割り出した万人にアピールする物語の作り方「ヒーローの旅」に、役割語セオリーを組み合わせることによって、ジブリアニメや村上春樹の人気小説その他の名作をより楽しく味わうことができる。そんな秘密のメソッドを特別にお教えします。今回は「千と千尋の神隠し」を中心に取り上げます!

ここまで進んだ大腸の外科治療

水島恒和(大阪大学大学院医学系研究科教授)
12月2日(土)10:30〜12:00

大腸癌や潰瘍性大腸炎、クローン病といった大腸の病気が増加しています。様々なお薬が開発されてはいるものの、手術が必要となる患者さんは少なくありません。ひと昔前は手術と言えば大変なものというのが当たり前でしたが、最近の外科治療は著しく進歩しています。大腸の病気に対する外科治療について、その役割と最新技術を紹介します。

“あたま”と“からだ”の鍛え方・整え方 〜part1からだを変える

七五三木聡(大阪大学大学院医学系研究科准教授)
12月2日(土)14:30〜16:00

今、世の中はあらゆる物事が急速に変化し、生活が革新的に便利になっていく一方で、先行きが読めない不安は日々のストレスを増大させ、“生きていくこと”自体への息苦しさも生み出しています。しかし、どんな時代でもそこで生きるのは“人間という昔から変わらない生き物”であり、人間の本質を“あたま”と“からだ”の関係という観点から理解することで“どう生きるべきか”が見えてきます。初回は“からだを変える”です。

  • 2017年7月〜9月期

間質性肺炎との闘い ~漢方医として母の病に向き合った700日物語

中田英之(大阪大学大学院医学系研究科特任助教)
7月30日(日)10:30〜12:00

2015 年 2 月、それは突然始まった。軽い肺炎との診断で「3、4 日入院になるわ」そう言って入院した母。2、3 日で回復するだろうと考えていた矢先、切迫した声で弟から電話が入った。「今、すぐ来れるか?」母の呼吸機能は急速に失われていった。挿管、緊急のステロイドパルス療法が矢継ぎ早に開始され、県立救命センター ICUに緊急搬送。病名は「特発性間質性肺炎」。3 週間後、全て手を尽くし、西洋医学的にはもうなすすべがないと主治医より告げられる。そこから漢方医としての闘いが始まった...。母の病に向き合った漢方医の 700日をお話します。

古代語の謎を解く

蜂矢真郷(大阪大学名誉教授・中部大学教授)
8月19日(土)13:30〜15:00

日本の古代のことばについて、形や意味を変えたりもしながら現代でも用いられているものを中心に、その語の成り立ちや由来を考えます。あまり根拠のない語源説のようなものではなく、国語学の、語構成を研究する立場から、いろんな語の表すところに迫ります。多くの語を合わせて比べてみると分かってくることもあります。分かりにくいことに迫る時には謎解きのようなおもしろさが、その由来に迫る時にはルーツを探るようなおもしろさがあるでしょう。(取り上げることばは毎回変わります)

「血糖値スパイク」を知って認知症を予防する

武田朱公(大阪大学大学院医学系研究科准教授)
9月16日(土)10:30~12:00

通常の健康診断では見つからない「血糖値スパイク」が、心筋梗塞や癌、さらには認知症の原因になることが分かってきています。食事の直後に短時間だけおこる血糖値の急上昇が、知らない間に心臓や脳の血管を傷つけ、様々な病気の引き金になります。血糖値スパイクを早期に診断して適切に対応すれば、将来認知症になる危険を大幅に減らすことが出来ます。講座では「血糖値スパイク」とその対策について、最先端の研究成果を交えて解説します。

呪術とむきあう ~文化人類学の視点から

白川千尋(大阪大学大学院人間科学研究科教授)
9月30日(土)10:30~12:00

わら人形に五寸釘を打ち込む呪いの術。ともすると「非科学的な迷信」などと片づけられることの多いこうした呪術を、学問の対象として取り上げてきた分野の一つに文化人類学があります。文化人類学者たちは呪術をどのように理解しようとしてきたのか、その長所と短所はどのあたりにあるのか。1990 年代から現地調査を続けてきた南太平洋の島嶼国ヴァヌアツの事例を取り上げながら、ご紹介したいと思います。

百舌鳥・古市古墳群と世界の王陵

福永伸哉(大阪大学大学院文学研究科教授)
9月30日(土)13:30~15:00

大阪平野南部に約 1600 年前に突然現れた百舌鳥・古市古墳群。最高の技術と多くの労働力を結集して築かれた巨大な王陵が含まれており、5 世紀に大阪平野を本拠として発展した王権の充実ぶりを物語っています。世界文化遺産の「暫定リスト」に記載され、いよいよ国内推薦を目指す取り組みも佳境に入ったこの古墳群について、築造の歴史背景、世界の王陵との比較をふまえた人類史上の意義、世界文化遺産登録への期待などを述べます。

・2017年4月〜6月期

肩こりの原因とその解消法

菅本一臣(大阪大学大学院医学系研究科教授)
5月27日(土)10:30〜12:00

肩こりは国民の体の悩みの中で20年以上にわたり頻度第一位、それだけ多くの人が肩こりに悩まされているのでしょう。ではなぜ肩こりがおきるのか?肩の筋肉が固くなっているから?背骨が曲がっているから?姿勢が悪いから?世間ではいろいろなことが言われていますが、これらは原因にはなりません。今回の授業では、肩の構造、そのどこが原因で肩こりが起きるのか(肩こりのメカニズム)について映像を使って説明したいと思います。簡単な予防トレーニングについてもお話しします。

3.11後の原発 〜政治は何を決めたのか

上川龍之進(大阪大学大学院法学研究科准教授)
6月3日(土)10:30〜12:00

福島第一原発事故の後、「脱原発」を求める声が高まります。だが民主党政権では、「脱原発」と「原発維持」とで意見が対立し、政策転換は不十分なものにとどまります。一方、第2次安倍内閣は、原子力を「重要なベースロード電源」と位置付け、「原発回帰」の姿勢を見せます。しかし、原発の再稼働はなかなか進まず、原発の新増設の決断も先送りされています。なぜ「脱原発」も「原発回帰」も進まないのか。その理由を考えます。

古代語の謎を解く

蜂矢真郷(大阪大学名誉教授・中部大学教授)
6月3日(土)13:30〜15:00
日本の古代のことばについて、形や意味を変えたりもしながら現代でも用いられているものを中心に、その語の成り立ちや由来を考えます。あまり根拠のない語源説のようなものではなく、国語学の、語構成を研究する立場から、いろんな語の表すところに迫ります。多くの語を合わせて比べてみると分かってくることもあります。分かりにくいことに迫る時には謎解きのようなおもしろさが、その由来に迫る時にはルーツを探るようなおもしろさがあるでしょう。(取り上げることばは毎回変わります)

織田作之助の〈坂田三吉〉

斎藤理生(大阪大学大学院文学研究科准教授)
6月17日(土)13:30~15:00

小説家の織田作之助と、棋士の坂田三吉。2人は20世紀前半の大阪を代表する人物です。ほとんど字を読めなかったという坂田は、作之助やその作品を知らなかったと思われます。しかし作之助は坂田を敬愛し、小説や随想でしばしば取りあげました。この講義では、作之助が坂田をどのように描いたのか、そして坂田を描くことを通して何を世に訴えようとしたのかについて考えます。

留学生の立場からの日本留学について考える

有川友子(大阪大学国際教育交流センター・教授)
6月24日(土)10:30〜12:00


大阪大学では多くの留学生が学んでいます。この講義では、大阪大学全体で学ぶ留学生の概要についてや、国際教育交流センターが行っている留学生に関わる教育、また学生間の交流や地域との交流の取組について紹介します。留学に関わる長期的観点の研究などから見えてきたことについてもお話しします。この講義を通して、受講者の皆さんと一緒に留学生の立場からの日本留学について考えたいと思います。

・2017年1月〜3月期

日本経済再生に向け“真の処方箋” を考える

臼井正樹(大阪大学大学院経済学研究科講師)
1 月 28 日(土)10:30~12:00

日本経済にとってデフレ脱却が目下の最重要課題です。このため、現政権は消費増税延期に加え、補正予算で財政支出を増やし、景気のテコ入れを図ろうとしています。しかし、政府債務残高が大きく積み上がる中、 もはや財政的には黄信号が点滅し始めています。景気のためなら「何でもあり」「手段を選ばず」でよいでしょうか?もっと別の方法はないのでしょうか?景気回復のための「真の処方箋」を冷静に考えてみたいと思います。

イヌイトの「野生の科学」:人類の未来への問い

大村敬一(大阪大学大学院言語文化研究科准教授)
2 月 4 日(土)13:30~15:00

カナダ極北圏の先住民イヌイトは「極北の科学者」 の異名をもちます。環境の微妙な変化も見逃さない鋭い観察力、飽くなき好奇心、数世紀にわたる狩猟・漁労・採集を通じて蓄積した豊かな知識(「在来知」)、環境の変化に臨機応変に対処する柔軟な知性、どんな困難にも粘り強く取り組む忍耐力が、彼らの日常生活を支えています。イヌイトと生活を共にし、彼らの「野生の科学」が育まれるプロセスを追跡した講師が、 近代科学とは異なる環境観から「人類はどこから来て、どのような存在であり、どこに向かうのか」という人類学の問いに挑戦し、地球温暖化をはじめとする地球環境変動の時代における人類の未来について考えます。

緑内障・白内障治療の最前線

三木篤也(大阪大学大学院医学系研究科講師)
2 月 18 日(土)10:30~12:00
PC、スマホ、タブレットなどの高度情報化社会において、ほとんどの情報の入り口になる目の健康を守ることはますます重要になっています。目の健康を担う眼科の診断、治療の技術はここ20年ほどで飛躍的に進歩し、失明を防ぐものから高い視力を目指すものへ変貌しました。本講座では、最も多い眼の病気である緑内障・白内障について、 最新の診断法、治療法をわかりやすく解説します。

皮膚バリアの成因から学ぶスキンケアのコツ

室田浩之(大阪大学大学院医学系研究科准教授)
3 月 18 日(土)10:30~12:00

皮膚は体を守ることで健康の維持に貢献します。汗線や脂腺など、皮膚を作る様々な臓器がそれぞれの特徴を生かして巧妙なバリアを織り成しているのです。私たちは生活の中で気づかないうちに皮膚バリアの多大な恩恵を受けています。本講ではそんな皮膚バリアに関わる「影の立役者」たちにスポットをあて、普段語られることの少ないその役割と皮膚病との因果関係、そしてそれらを踏まえたスキンケアの方法について解説します。

鳴物停止令を通して江戸時代の支配を考える

村田路人(大阪大学大学院文学研究科教授)
3 月 18 日(土)13:30~15:00
江戸時代、為政者やその家族が死去すると、一定期間歌舞音曲や普請を禁ずるお触が出されました。これを鳴物停止令といいます。民衆は、人々の生活に影響を与える鳴物停止令が出されることによって、支配者としての為政者の存在を改めて認識させられたことでしょう。今回の講座では、将軍など、国家的重要人物の死に際して出された鳴物停止令を取り上げ、江戸時代の支配の特質について考えます。

  • 2016年10月期〜12月期

手紙で読み解くシルクロード 〜千年前の敦煌文書から

坂尻彰宏(大阪大学全学教育推進機構・准教授)
11月12日(土)10:30~12:00

この講義では、中国の敦煌から発見された手紙文書を材料に、今から千年ほど前のシルクロードの実態を読み解いていきます。今から約百年前、中国甘粛省の敦煌から、数万点に及ぶ古文書が発見されました。これらの文書は、様々な言語・文字・ジャンルを含んでおり、現在も世界で注目を集めています。中でも手紙は当時のシルクロード上の交通・交易の具体的な姿を私たちに教えてくれます。古文書解読の実際を紹介しながら解説します。

加齢による難聴の原因と対処法

太田有美(大阪大学大学院医学系研究科・助教)
11月19日(土)10:30~12:00

中耳炎や突発性難聴など、難聴をきたす病気はいろいろありますが、年齢を重ねることによって誰もが多かれ少なかれ聞こえにくくなってきます。この講義では、音が聞こえる仕組みから、難聴の種類や程度について説明し、難聴の中でも特に、加齢によって生じてくる難聴について、その特徴や対処法について解説します。さらに補聴器についても紹介します。

中野珠実(大阪大学大学院生命機能研究科・准教授)
12月3日(土)10:30~12:00

人は毎分20回も瞬きをしています。目を潤すためには3回程で十分なことから、何のためにこんなに頻回に瞬きをするのか、大きな謎となっています。本講義では、どんなときに人が瞬きをするのか、そのとき脳の中では何がおきているのか、他者との関係に瞬きがどんな影響を与えるか、などについて講義します。マジックや人型ロボットを使った研究から脳神経活動を計測・操作した研究まで、様々な面白い研究をわかりやすく紹介します。

床谷文雄(大阪大学大学院国際公共政策研究科・教授)

12月3日(土)15:00~16:30

日本はすでに超高齢社会に突入し、家族関係の在り方も大きく変わりました。高齢者の一人暮らしや高齢夫婦世帯が増加し、高齢者を社会が支える制度の整備が求められています。成年後見制度はその一つであり、本年4月には、成年後見に関係する2つの法律が成立しました。また、相続がらみの紛争も多くなり、民法の相続・遺言の規定も大幅な改正が検討されています。こうした最近の法律状況について、一緒に考えてみましょう。

米国新政権と日米同盟の将来

坂元一哉(大阪大学大学院法学研究科・教授)
12月10日(土)10:30~12:00

テロ、南シナ海、ウクライナ、北朝鮮。世界の安全保障環境がさまざまな問題で大きく揺らぐなか、米国民は11月に新しい大統領を選挙します。はたして新大統領誕生後における日米の安全保障協力はどのようなものであるべきでしょうか。この講義では、昨年できた新しいガイドライン(日米同盟協力のための指針)と新しい安保法制(平和安全法制)の意義をふまえて、そのことを考えます。

  • 2016年7月期〜9月期

フレイルを知って介護予防

杉本 研(大阪大学大学院医学系研究科講師)
2016年7月9 日(土)10:30~12:00

超高齢社会の渦中にある日本では、要介護者を増やさないための対策が 喫緊の課題となっています。日常診療で介護予備群をみつけ、予防と対 策を講じるために「フレイル」(健常な状態と日常生活でサポートが必 要な状態の中間の状態)という概念を理解することが大切です。「フレイル」について

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