2015年度 大阪・京都文化講座
大阪大学21世紀懐徳堂が、大阪大学大学院文学研究科・立命館大学文学部と共催で実施する公開講座です。歴史や文化に関して共通テーマを設定し、大阪と京都それぞれについての講座を複数回実施します。
大阪・京都文化講座(2015年後期)『京都・大阪「悪所」の研究ー遊郭と芝居町の他所性・両義性をめぐってー』
![]() |
2015年度後期 共通テーマ 「京都・大阪「悪所」の研究 -遊郭と芝居町の他所性・両義性をめぐって-」 江戸期以降、上方の二大都市である京都・大阪(坂)には、多くの遊郭や芝居町が栄えました。それらは傾いた「好まれない空間」あるいは「悪所」と眼差される一方で、特異な文化様式を分泌し、二都それぞれの文化を豊饒化する祝祭的空間としても受容されてきたのです。 時を経て、今や「悪所」は「観光(者)の眼差し」の対象、そして懐古的(レトロ)な気分に浸ることのできる場ともなっています。本講座では、「遠い風景」となった「悪所」について、心象地理・都市論・小説・文芸・肉筆画・芸能史など、さまざまな視点からその他所性・両義性について探究してみたいと思います。 |
【講座概要】 チラシは こちら(PDF2015KB)
●第1回 2015年10月5日(月)14:00~15:40
浮世絵に描かれた京大坂の悪所
石上阿希(国際日本文化研究センター 特任助教)
18世紀に上方で制作された肉筆画や絵本などには、色を売る男女の姿が数多く描かれている。また、売色の種類・風俗や遊び方の心得などを記した出版物も残る。それらのテキストとイメージを紹介しながら、悪所に生きる人々がどのように捉えられ、伝えられていたのかを探ってみたい。
●第2回 2015年10月19日(月)14:00~15:40
遊女の芸能史〜月澄み渡る河水に遊女の謡ふ船遊び〜
中尾薫(大阪大学大学院文学研究科 准教授)
中世、神崎川のほとりの江口・神崎、蟹島に発達した遊里では、船に乗った遊女が客を取る風景が、大江匡房の『傀儡子記』『遊女記』に記されるほか、和歌や能の題材にもなっていた。芸能者としての遊び女における神聖性、遊里の遊び女における罪業観が、複雑に入り交じった遊女の姿を、芸能史の視点から読み解く。
●第3回 2015年10月26日(月)14:00~15:40
明治大阪のスラムと盛り場〜悪所のヘテロトポロジー〜
加藤政洋(立命館大学文学部 准教授)
大阪ミナミの盛り場《千日前》は、明治の初年まで大規模な墓地であった。墓地から盛り場への変貌をたどる時、現在の「でんでんタウン」である日本橋筋とをまたにかけて活躍した、一人の侠客の姿が浮かんでくる。今回の講座では、その謎めいた人物に注目し、悪所の異他なる貌を浮き彫りにしてみたいと思う。
●第4回 2015年11月2日(月)14:00~15:40
大坂の遊里案内『みをつくし』を読む
飯倉洋一(大阪大学大学院文学研究科 教授)
新町は、江戸の吉原、京都の島原と並んで、幕府に公認された大坂の遊郭。新町の遊女夕霧と豪商の若旦那伊左衛門の恋を描く歌舞伎『廓文章』(通称吉田屋)は有名である。では新町とはどういうところだったのか?新町の案内書『みをつくし』を読んで、江戸時代の大坂の遊郭にタイムスリップする。
●第5回 2015年11月9日(月)14:00~15:40
京都花街の近代文化誌
中川成美(立命館大学文学部 教授)
京都には上七軒、先斗町、祇園甲部・乙部、宮川町,嶋原の六花街が室町期から江戸初期にかけて成立し、今もその繁栄の跡を留めていることは世界に知られている。本講義では特に近代以降の花街の変遷をたどりながら、それを描いた文学や映画を紹介しながら悪所のもつ魅惑と耽溺、そして女性の問題を考えてみたい。
●第6回 2015年11月16日(月)14:00~15:40
織田作之助の<遊郭>
斎藤理生(大阪大学大学院文学研究科 准教授)
京阪の地を多く描いた織田作之助の作品には、遊廓とその周辺もしばしば取りあげられている。たとえば『夫婦善哉』の蝶子と柳吉が関東煮屋を開くのは「飛田大門前」であった。織田はそれらの地をどのように描き、用いているのか。作品に即して考えたい。
●第7回 2015年11月30日(月)14:00~15:40
遊歩者の想像力〜探偵小説とツーリズムが重なり合う「都市の悪所」〜
遠藤英樹(立命館大学文学部 教授)
探偵小説のキャラクターも、ツーリストも、見世物小屋、盛り場といった様ざまな都市の悪所を遊歩する。本講演では、大阪や京都を事例に、こうした近代社会を揺籃した場所を遊歩する者たちの想像力について、乱歩、正史をはじめとする日本の探偵小説とツーリズムを重ね合わせながら探りたい。
●第8回 2015年12月7日(月)14:00~15:40
芝居はいつから悪所ではなくなったのか?
横田洋(大阪大学総合学術博物館 助教)
遊廓と合わせ、芝居を指して「悪所」と呼ぶ慣習は幕末ごろには存在したとされるが、その慣習は今でも続いているのだろうか。現在の劇場や劇場のある街を「悪所」とは呼ばないのならば、どのような歴史的文脈の中で、その慣習が変化したのか、考えたい。
【会場】
立命館大阪梅田キャンパス (大阪市北区小松原町2-4 大阪富国生命ビル5F)
【定員】
各回130名(先着順)※定員になり次第締め切らせていただきます。あらかじめご了承ください。
【受講料】
1回1,500円 (7回以上一括申込の場合10,000円)
【共催】
大阪大学大学院文学研究科、大阪大学21世紀懐徳堂、立命館大学文学部
【申込み方法】
1.「申込書」に必要事項を記載の上、E-mail・FAX・郵送、いずれかの方法でお申込みください。(電話申込不可)
2.受講申込受付後、「受付確認書」「郵便振込票」を送付いたしますので、受講料を納付(郵便払込)願います。
※振込手数料は申し込み者のご負担でお願いいたします。
※いったん納付いただいた受講料は返金いたしかねますのでご了承ください。
※現金での納入受付はできません。
【申し込み先】立命館大阪梅田キャンパスE-mail: osaka-kz@st.ritsumei.ac.jp / FAX 06-6360-4894 〒530-0018 大阪市北区小松原町2-4 大阪富国生命ビル14階 |